Archive for the '不動産' Category
野次馬オークション
以前郊外の一軒家に住んでいた頃の話。ある週末の午後、部屋にいると近所から男性の大きな声が聞こえてきた。どこかの家のパーティーでおっさんがビールで出来あがっているのだろう、とさして気にも止めないでいたが、やがて聞こえてくる声に独特のリズムがあることに気づいた。耳を澄ますと何か数字を叫んでいるようだ。
“Eight hundred seventy thousand!”
英語で言われた数字は一旦頭の中で思い浮かべないとピンとこない。えーっと・・・870,000・・・?
“Eight hundred seventy-five thousand!”
えーっと・・・875,000・・・?あっ、もしかしてこれが噂に聞くオークション?近所の家がオークションにかけられている真っ最中だったのだ。最終的にその家は$889,000で落札された。
日本であまり一般的ではないが、オーストラリアの住宅はオークションによって買主が決められることが多いらしい。毎週ポストに入るずっしり重い地域情報誌のページのうち半分以上はオークションの物件広告が占めている。
こちらの家は広い。テニスコートやプールが付いている物件もザラで、広告を見ているだけで何やらワクワクする。そして部屋の内装写真が皆インテリア雑誌のように美しい。純粋な私はオーストラリアの人は皆インテリアのセンスに優れているのだろうとすっかり信じ込んでいたのだが、ある時地元の人が
「売りに出す物件の写真は、家具等をレンタルして撮影するのだ」
と教えてくれたことで誤解が解けた。あー、なるほど。そりゃ、そうですよね。
その後シティ近辺に越して数ヶ月経ったある週末の午後。どこからか男性が大きな声で喋り続ける声が聞こえてきた。今回はすぐにオークションだと気づき、サッと見学に飛び出した。
向かいのアパートメントの一室がオークションにかけられているようだ。辺りには建物の前と道路を挟んだこちら側に分かれて4、50名の人が集まっている。オークショニアーが独特の口調で物件について一通り説明を終えると入札開始を宣言。
「それでは39万ドルから!」
すぐに一組が開始価格で入札するが、なかなか次の声がかからない。えっ?もしかしてこのまま終了するとか?他人事ながらドキドキしたが、しばらくして別の組から39万5千ドルの声がかかった。
オークションの様子が知りたい方は下の動画が参考になると思う。どこもこんな感じ。
遠巻きにその様子を眺めていると上等そうなスーツで決めた不動産屋のお兄さんが近寄って来て、近々オークションが行われる予定の物件一覧が載った上等な冊子をくれた。ポテンシャルカスタマーとして見てもらえたのだろうか。何かうれしい。でも、そんな予定は全くない。
大勢の人が集まっているにもかかわらず入札に参加しているのは2組のみで、あまり値が上がらない。途中、片方の入札者が冗談とも本気ともつかない様子で
「40万・・・5千・・・500ドル」
と声を上げたが受け入れられなかった。どうやら最低入札単位は$5,000らしい。オークションは5分もかからないうちに(多分)$415,000で終了した。数ヶ月前の広告で見たこの地域の似たような物件の価格を考えるとかなり値が下がっている。不況の影響はここにも現れているようだ。
いつか私もオークションに参加する日は来るのだろうか?日本円にして数千万円の買い物を決断するなんて固定価格ですら難しいのに、どんどん価格が上がっていく中冷静を保ちながら数分のうちに判断するのはかなりの精神力が必要だろうな、お金に余裕があればともかく。
オークションの人間行動学 最新理論からネットオークション必勝法まで
川越 敏司 佐々木 俊一郎 小川 一仁
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Tags: オークション
住まいとの闘いの日々
オーストラリアに越してきてからというもの、住まいに関する問題に出くわす機会がめっきり増えた。建物が古いせいなのか、元の造りが甘いのか原因は良く分からないが、とにかく今まで住んだ3軒ともにそれぞれ問題があった。
例えば、
最初にひと月だけ住んだユニット。跳ね上がり式のガレージの戸を開けようと下に付いた紐を手前に引っ張ったところ、スルッとほどけて思いっきり尻もち。一筋縄ではいかない豪住居の洗礼を受ける。
次に住んだ6BRの一戸建て。4口あるガスコンロの一つが使用不可能。キッチンの明かり取りの窓からは雨漏り。玄関のインターホンは気分次第で鳴ったり鳴らなかったり。
そして、今のアパートに引っ越してきた当日。固定電話を取り付けたところ、開通しているはずなのに受話器から発信音が聞こえない。工事のおじさんが来てくれたが、おじさんも原因が掴めずしばらく困惑。1時間後、隣の部屋のカーペットの下で無残にぶち切れている電話線を発見。カーペットを固定するためのピンが原因だったらしい。ところで、前の住人はどうしていたのか?
キッチンとシャワーの蛇口は、両手で思いっきり締めても「ポタッ・・・・・ポタッ・・・・・」と24時間漏れっぱなし。
シャワーを流すと、蛇口の根元から熱湯が溢れ出し止まらない。熱くて蛇口に触れず一騒動。
その2日後、突然キッチンの明かりが付かなくなった。早速電球を変えてみたが変化なし。天井の裏側の配線に問題があるらしい。以来ほったらかし。
洗面所で歯を磨いていると、突然頭上からタイルが剥がれ落ちてきて目の前で割れた。
おとつい、台所の流しの前に水たまりが出来ているのを発見。何事かとシンク下のドアを開けたところ、排水パイプが途中で外れていて、棚にしまっていた物がびちょびちょに。
そして昨日。最近シャワーの水圧が弱まっているような気はしていたが、日本でシャワーの気前の良い流れぶりに感激して戻ってきた直後だったこともあり、あまり深刻に受け止めていなかった。しかし、勢いは日に日に弱まっていき、ついには少ない水量でやっとの思いでシャワーを済ませても、体の震えが止まらない有様に。・・・・・寒い、寒いよ・・・・・日本に住んでいた頃はこんな目にあった事ない。日本の家はこんなにいい加減な造りじゃない (狭いけど)。オーストラリアのバカ住宅め!!!もう許さんッ!!!!!
「ぶもーーーッ!!どうなっとるんじゃーーーッ!!!!」
怒りのあまり、私はシャワーヘッドを取り外しにかかった。DIYの心得もほとんどないくせに無謀な試みだったが、幸い取り外した部品を順番に安全な場所で並べるくらいの冷静さは残っていた。シャワーヘッドはドライバーなしで簡単に外れ、試しにヘッドのない状態でお湯を流して見ると、普通の勢いでなぜか黒ずんだお湯が飛び出してきた。熱ッ!!これは間違いない。このシャワーヘッドの中に問題が!!
ダーさんと一緒に上部の蓋をクルクル回して外して見ると、内部に直径1cmほどの窪みがあり、そこに細かい錆状の物体が詰まっている。日本に帰国中元栓を締めていた関係で、水道管が錆びたのではなかろうか、とは素人の推測。爪楊枝とティッシュを使って残らずこそげとる。これ以上外せそうな箇所は見当たらない。これで直らなかったらどうしよう。あの「予約をしてもすぐには来ない」と評判の豪プラマー (配管工)にお世話にならなければならないのか。・・・・・めんどくさ。
シャワーヘッドを再び取り付け、祈るような気持ちで蛇口を回す。すると、シャワーヘッドから懐かしい勢いでお湯が流れ出した。そうだ!そう言えばこのシャワーってこんな感じだったよ!やったー、直ったー!!私でも直せたー!!!
なんだか初めてオーストラリアでやっていけそうな気がした。
我が家を速効メンテナンス (学研ムック)
編集部
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Tags: DIY
メルボルンで賃貸を探す(番外編)
物件探しが難航を極めていたある日の朝、リビングでテレビを見ているとめったに鳴らない家の電話が鳴った。
まだまだ電話での会話に自信のない私。いつものように無視を決めこもうとしたが、先日元シェアメイト兼大家のC嬢から
「あなた達の退去前に、不動産屋が一度その家見に行く事になってるの。事前に電話があるはずだから、よろしくね」
と言われていたのを思い出し、勇気を振り絞って受話器を取った。しかし・・・・・
“Hello. +★%”☆#%☆&★#$|*&$”
ヤバい。やっぱり早すぎてほとんど理解できない・・・・・。しかし、話し方から判断するに不動産屋のようだ。なぜなら彼らは誰もがすごく早口だから。
「・・・・・それで、今日の5時頃行くから☆%”☆#★☆★」
5時ね!5時に誰か来るのね!?恐らくエージェントが入居希望の人を2、3人くらい連れてくるのだろう、と勝手に予想。
となると、急いで家の掃除をしなければ。チャチャチャっと部屋を片付け、最後に裏庭で摘んだバラを1輪食卓に飾り、お客の到着を待つ。
約束の5時が近づくが、今まで電気工事や庭の手入れ等のいろいろな業者が時間通りに来た試しがないためリラックスしきっていた。ところが、5時5分前
<トン!トン!>
とドアをノックする音が。もう来やがった!!早かったり遅かったり、どっちやねんッ!!
玄関のドアを開けると、エージェントの
「ハーイ、お部屋見せてもらっていい?」
の声に続き、老若男女が一斉にワラワラと入ってきた。10人は下らない。っていうか、これはいわゆる”Open for Inspection”じゃないか!!
C嬢が台湾系オージーだったおかげで、私たちはオーストラリアに来てからも家の中で靴を脱ぐ生活を享受していたのだが、入居希望者のいかにもオージーな皆さんは当然のごとく靴を履いたまま上がりこんできた。自分の家に赤の他人がゾロゾロ土足で上がりこんでくる。生まれて初めての光景に一瞬ショックを受けたが・・・・・うん、まあ、これは止むを得ないだろう・・・・・。
入居を希望する皆さんは、各部屋や裏庭をサッと見て回ると5分も経たないうちに”Thank you.”と言い残し去って行った。アプリケーションフォームを持って帰る人が結構多い。私は家主ではないので、次に住みたい人がいようがいまいが直接関係ないのだけれど、『この家が気に入ってもらえたのかな?』と思うと少しうれしくなった。
数日後、C嬢から「新しい入居者が決まった」との連絡が来た。そして、いつものようにネットで自分たちのための物件を探していると、入居者がとっくに決定したはずの我が家の情報がまだそこにあるのを発見した。いつまでも古い情報を放置しているから、目当ての家を見つけても
“It’s been leased.(それはもう決まりました)”
なんて不動産屋で度々言われるハメになるんじゃないか。ルーズなのにもほどがある。とっとと削除しろ!バカー!!
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Tags: 賃貸
メルボルンで賃貸を探す(その6)
不動産屋で『恐怖のトイレの館』のアプリケーションフォームを受け取り帰宅。
B4版の用紙3枚には現住所、氏名、連絡先の他、入居者の現職だけでなく前職についてまで記入する欄がある。その他に入居者全員の身元を証明する書類(パスポート、運転免許証等)のコピー、銀行口座の取引状況一覧、知人の推薦状等いろいろ揃えなければならないらしい。
私たちはメルボルンにまだほんの数ヶ月しか住んでいない外国人。完成したアプリケーションフォームを眺めていると、自分たちの目から見ても些か心もとない。私が大家なら選ばない。
残り2週間でここを立ち退かなければならないのに、次の家の当てがないなんて。こんな状況は人生で初めてだ。どうしたら事態を好転できるのか想像もつかない。おまけにこの2週間というもの来る日も来る日もネットで物件&MELWAY(メルボルンとその近郊を網羅した道路地図)を見続けていたせいか、近頃頭がガンガンする。
深刻に落ち込んでいるところに、元シェアメイト兼大家のC嬢から電話がかかってきた。私たちの家探しの進捗状況を気にかけてくれたらしい。
「それで、どんな部屋を探してるの?」
と聞かれたのでダーさんが「2ベッドルームのユニット」と答えたところ、
「・・・・・うーん、二人はこちらに来てそんなに時間が経ってないから、ユニットはちょっと難しいかもよ」
との事。えっ?どういう意味?
「ユニットはレント(家賃)をきちんと払えるかどうかについてアパートより審査が厳しいから。ほら、アパートは大家一人に対して何世帯も入るけど、ユニットは大家一人に対して一世帯しか入らないからね。アパートとかで今まできちんとレントを払ってきたっていう証拠でもあればいいんだけど。でも、最近はアパートも難しいらしいし、探している時間もあんまりないし・・・・・」
そんなにユニットの入居が難しいなんて、私たち知らないから!!
「だから、てっきり二人はシェアで探してるんだと思ってた」
えっ!?今頃そんな事言う?!
「じゃあ、後2週間だから頑張ってね」
コ、コラーーーーーーッ!!!!私たちの2週間を返せーーーーーッ!!!
電話が終わった後、完全に戦闘意欲を失った私たち。今からアパートで探し始めたとしてもたったの2週間で決まるかどうか未知数すぎる。シェアを選ぶしか道はなさそうだ。っていうか、もうやってらんねー。疲れた。
後になって、新聞の特集で現在メルボルンは空前の賃貸物件不足であることを知った。入居希望者の中には、アプリケーションフォーム提出の際家賃の上乗せや数ヶ月分の先払いを申し出て希望の部屋をゲットする強者もいるらしい。
知っていたとしても、私たちにはマネできませんが。
参考記事:
The Age 2007年3月6日付 ”Rent Rage – In Depth – “
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Tags: 賃貸
メルボルンで賃貸を探す(その5)
ネットで見つけた物件で”Open for Inspection”の日が設定されていない場合は、直接不動産屋でその部屋の鍵を借り自分で見に行くことになる。私たちもセオリーに沿って、とあるサバーブの不動産屋に向かった。
受付には二人の女性がいて、来客が入れ代わり立ち代わりで話しかける他、電話もひっきりなしにかかっている。忙しそうだ。落ち着いたところを見計らい、やっと目当ての物件について尋ねたところ、
“It’s been leased. (それはもう決まりました)”
との素っ気無い答え。・・・・・・・あ、そ。まあ、でもしょうがない。次だ、次。
気を取り直して近くの不動産屋に入り、また別の物件について尋ねる。ところがまたもや答えは
“It’s been leased. (それはもう決まりました)”
・・・・・・・早くも気分が沈み始める。ヤバい。部屋探しはまだスタートしたばかりだというのに。
どうやらあれこれ選り好みをしていられる状況ではないことを、ここへ来てようやく理解し始めた私たち。もっとお高い部屋なら空いているのかもしれないが、払える家賃には上限がある。
何軒目かの不動産屋で、ようやく希望の部屋の鍵を借りることに成功。鍵を借りられただけで、もうその部屋を契約できそうな気がしてくるほど、既に余裕を失っている。
電車で移動し、30分後に目的の駅に到着。この辺りは元々住宅地ではなかったようで、駅から見える範囲に商店らしきものは皆無。大きなビジネスパークが広がるだけで通りを歩く人影もなく、他のサバーブとは明らかに異なる様相を呈している。実はここは想定外の地域だったのだが、駅から徒歩圏内というだけでも今はありがたいと思わなければなるまい。
今日も今日とて容赦ない紫外線が照りつける中、人気のない歩道を真っ直ぐ10分ほど歩くと目的のユニットに到着。既に鍵は開いており、中に入ると内装屋のおじさんが壁にブラシをかけているところだった。一言断って室内を見せてもらう。
間取りは希望の2ベッドルームのユニットだ。部屋の広さは申し分ない。キッチンは古いが不動産屋の話では全面リフォームされるとの事だった。バスルームも、まあ、これなら我慢できるかな?
最後にトイレをチェックするため、ドアを開けたところ・・・・・
ゾワゾワッ!
全身に悪寒が走った。見上げると、部屋一面にモノトーンの壁紙が張り巡らされている。この図柄というのが、ヴィーナス?古代ギリシャの神々?ありがたい意匠を用いている割りにはひどくおどろおどろしい印象で・・・・・書いた人には申し訳ないが、まさに地獄絵図と呼ぶにふさわしい出来栄え。たったの数秒で具合が悪くなったような気がして、慌てて外に出た。
ドアの外にいたダーさんが「ここ気に入った?」と聞いてきたので、「ちょっとトイレの壁紙が・・・・・」と促しダーさんにもチェックしてもらう。ところが、ダーさんは
「壁紙がなにー?」
と言うばかりで全く何も感じていない様子。
・・・・・そうだった。今の私たちには贅沢を言っていられる余裕などないのだ。トイレの壁紙くらいなんだ。
「それで、ここ気に入った?」
ダーさんは相変わらず無邪気に聞いてくる。『こんな気味の悪いトイレの家なんて嫌!』という言葉をグッと飲み込む。
「・・・え、駅からここまで交通量が少なくて、車の運転の練習に良さそうよね・・・」
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Tags: 賃貸
メルボルンで賃貸を探す(その4)
ネットで部屋探しをしていると、時おり
“Open for Inspection”
の文字に続き日時が記されている物件があるのに気づく。
こちらではネット等で気になった物件を見つけたら、その物件を取り扱っている不動産屋で鍵を借り自分で勝手に見に行くのだが、”Open for Inspection”の日は指定の日時にその家が開放され(15分間位のことが多い)、希望者は予約なしで自由に物件の内部を見学できるらしい。
「これはいい」ということで、気になっていたアパートの中から”Open for Inspection”の日が設定されているものを選び、ダーさんと訪ねることにした。
駅から徒歩圏内にしては閑静な住宅地(と言っても、私の知る限りメルボルンは大体どこもこんな感じなのだが)に建つレンガ造りの2階建のアパートに到着したのは、開始予定時刻の5分前。辺りに立ち並ぶ大きな街路樹が、夕方とは言えまだまだ強烈な紫外線にひっそりと耐えている。
入口の前に所在なさげに立つ若い女性が一人。先客のようだ。ほどなくして不動産屋の女性が到着。すごい勢いで階段を駆け上がりチャッチャと合鍵でドアを開けると、
“どうぞ入って!”
と声をかけられ、部屋の中に通された。
ネットから得た情報によると、ここは寝室1部屋の他にリビングがあって、それとはまた別にキッチンがあるらしい。しかし、オーストラリアの不動産物件情報には間取りが記載されていないのが通常で、稀にあったとしても面積までは明示されていない。このアパートについても広さは知り得なかったのだが、私たちには
『オーストラリアなんだからどんな部屋も充分広いに決まってる』
という根拠のない思い込みがあった。そして、どうせ寝室は一つしか使わないのだから1ベッドルームで充分じゃないかと考えていたのだ。ところが、部屋に入ってすぐの印象は
『・・・・・狭ッ!』
間取りは6、7畳ほどのリビングと同じ広さのベッドルーム。そして、小さなキッチンと洗濯機置き場にユニットバス。洗濯機置き場も狭くドラム式のタイプしか置けない。どう見ても一人暮らし向けの物件だ。いや、日本から来たばかりの時ならこれでもOKだったのかもしれないが、現在2ベッドルームのユニットに暮らしているせいか、もうこの狭さには耐えられそうもない。
戸惑っている私たちに向かって不動産屋のお姉さんが「それで、どっちが住む予定?」と尋ねてきた。正直に「・・・・・二人とも」と答えると、明らかに一瞬ギョッとした様子。
見学後、物件が気に入った場合はその場でアプリケーションフォームを受け取り、後日それを不動産屋に提出、家主に審査してもらう段取りになるのだが、私たちは遠慮した。もう一人の女性ももらわずに帰ったようだ。
そして、実際1軒見て出した結論。
「私たちには2ベッドルームは必要だ。アパートは狭くて騒音が気になる。やっぱりユニットがいい!」
―――今思い返せば、この時点においてもやっぱり何も分かっちゃいなかったのだけれど。
注: 「アパート」と「ユニット」について
アパート・・・・・日本で言うところの「アパート」とほぼ同じ。
ユニット・・・・・一つの区画に数世帯が暮らす点はアパートと同様で、それぞれの世帯の建物が独立または1つの建物が数世帯居住できるよう分割されているもの。いろいろなタイプのユニットがあるらしいけれど、私の見た範囲では平屋の1、2ベッドルームで、一つの建物に1世帯または2世帯で住むタイプが圧倒的多数。
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メルボルンで賃貸を探す(その3)
Sandringham線は ビーチ沿いに立ち並ぶ高級住宅街を走る路線。自分にはあまり関係のない地域と知りつつ興味本位で訪ねてみた。なるほど、夕方の電車の中はいかにもエグゼグティブ然とした上品なサラリーマンの姿が目立つ。
Elsternwick駅で下車。駅前を通るGlen Huntly Roadを歩く。前回訪ねたOakleighとは違い、ここは通りが広々としている。トラムが走り、日本食材の専門店もあって便利そうだ。道行く人は白い人がほとんどで、立ち並ぶショップからは心なしかお高くとまった印象を受ける。「あら、素敵ねー」と浮き立つ私とは対照的に、「こういう小ぎれいな街は好きじゃない」とダーさんは居心地の悪さを隠そうともしない。
スーパーマーケットColesを見つけ店内を徘徊。Colesの品揃えはサバーブによって大きく様変わりするわけではないようで、『もういいや』と出口に向かおうとしたところ、突然けたたましくサイレンが鳴り始めた。どうやら私が出口だと思ったのは入り口で、うっかり逆方向に歩いてしまったのが原因らしい。
「キャーーーッ!!!」
いたたまれず即座にその場から逃げ出す。
日本で同じ事が起きたら「これはいい話のネタができた」とばかりに友人、家族に言いふらすに違いないくせに、これが外国になっただけでもう自分がダメダメになったような気分になるのは何故だろう?駅近くの店で買ったスムージーを手にベンチに座るが、胸の動悸が治まらない。
『・・・・・やっぱり私もここは合わないかも』
「心配しなくても、そもそもこの辺の家賃払えないから」と、今ならあの時の私に言ってやれるのだが。
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メルボルンで賃貸を探す(その2)
昨年一足先にメルボルンに越してきたダーさんが自分の家探しで訪れた際の第一印象が大変良かったということで、まず初めに候補にあがったのはOakleigh。シティから電車で30分ちょっとの街。
なるほど、駅周辺には大型ショッピングセンターをはじめとしてショップが立ち並び、夏の長い夕方をカフェで友人と談笑して過ごす人の姿があちこちで見受けられる。街の看板に目立つ文字から判断すると、どうやらギリシャ系の方が多く住む街のようだ。しかし、通りをザッと見渡しただけでもいろいろな人種の人が歩いている。ああ、これこれ。メルボルンに来たって感じ!
おととし下見旅行でいくつかの都市を回り、結局落ち着く先をメルボルンに決めた理由は、一つには全豪オープンテニスの開催地というのもあるけれど、それ以上に私を引き付けたのは街に溢れる様々な人種の人々だった。オーストラリアの他の都市でも同じような光景は見られたけれど、この国で自分が外国人として暮らしていくことを考えた時、自分が最も居心地が良く感じたのはメルボルンだったのだ。もちろん一人一人が腹の底では何を考えているのかまでは知る由もないけれど、パッと見にはみんな仲良く共存しているように見えた。それで充分だった。
そして、メルボルンに来てからこの時初めてアジア食料品店にも入った。噂には聞いていたが、想像以上の日本食の充実ぶりに驚く。野菜だけとってみても白菜、ニラ、えのき、椎茸(表記は”SHIITAKI”になっているけれど)・・・・・なんだ、これだけ揃っていれば冬に鍋をするのに困らないで済みそうだ。
Oakleigh・・・悪くない。しかし、この街に決めつけてしまうのはまだ時期尚早。他の街もちゃんと調べないとね。
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Tags: 賃貸
メルボルンで賃貸を探す(その1)
こちらに来て間もなく、すぐに次の住居を探さなくてはならないハメに陥った。というのも、シェアメイト兼家主のC嬢が、突然他州への転勤を命じられたのだ。
一応「続けて二人で住んでもらえないか」と打診もあったが、シェアでなければ少々お高い家賃なうえ、ダーさんの職場から遠すぎるのがかねてからの難点だったため、思い切って引越す事に決めた。退去までの制限時間は1ヶ月。
ダーさんも私もオーストラリアで賃貸を契約した経験はもちろん、ない。土地勘もなければ資金がふんだんなわけでもない。ないない尽くしの状況に途方に暮れながらも、日本では何度となく引越しを経験してきたので、『基本はそう変わらないだろう』と内心タカをくくっていた。そう遠くない未来に、これが大間違いだったことが判明するのだが。
地域を選ぶにあたり、ひとまず選択範囲を日本人が比較的多く住むと言われるシティ南東方面に限定する。引越し後、私は語学学校に通うつもりなので、公共交通機関から徒歩圏内の物件が望ましい。家賃は・・・・・こっちは何が目安なの?知るもんか。とりあえず日本的に「収入の3割」以内で探していくことにする。
ネットで手当たり次第に数多くの物件を見ていくうちに、気になる街がいくつか出てくる。しかし、やはり実際この目で街の雰囲気を確かめないことには始まらない。ダーさんの休日を利用して、各サバーブを見学に行くことにした。
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